Cheeky Jesus.
Cheeky Jesus
「ちょっとゾロ?アンタさっきから何キレてんのよ?うるさいったらありゃしないわ」
白いエプロンをかけた料理スタイルのナミが、今にも受話器を握りつぶしそうなゾロの頭をお玉でこつんと小突いた。
『その声………おい、ハラマッキー!!もしかしてそこに誰か美しいレディがいらっしゃるのか!?』
途端にCheeky Jesus………キディの声が真剣な物に変わる。青筋を立てたゾロが怒鳴るより先に、
『ああ、ルフィのトコにはナミちゃんがいるぞ』
弟に似た呑気な調子でエースが答えた。
『ナミさんっ!?なんて美しい名前だ、きっと本人も名前と変わらず素晴らしいレディに違いない……残念です、貴女が其処にいるとわかっていれば何を置いても先程ご挨拶したのに!』
「ゾロ……………誰これ」
「…………例の、頭のイカれた泥棒野郎だ。どうやらエースとつるんでたらしい」
「何ですって!!?」
ナミはゾロの手から受話器をひったくると、噛みつく勢いで叫んだ。
「ワタシのお宝返せーーーーーー!!!泥棒!!」
『ああ、怒鳴り声もまた麗しい………レディ、ご安心ください。貴女の宝だとわかったからには、盗っていくのは半分にしておくので』
「ふざけんなーーーーーーーーーーーー!!!」
先程のゾロと全く同じ叫び声を揚げ、ナミは足を踏みならした。
『本当は、全部お返ししたいのですが…………そこのミドリマリモの迷惑料に、半分いただいておきます。お許しください、ナミさん』
聞き捨てならない台詞に、思わずゾロが口を挟む。
「俺がいつテメェに迷惑かけた!?ってか、一番迷惑かけてんのはテメェだろうが泥棒野郎!」
『うるせェマリモ。レディとの会話に入ってくんならせめて人間にレベルアップしてからにしやがれ。迷惑だァ?テメ、俺のサングラスに傷つけただろ、忘れんな』
「普通忘れるわ!んな事でか!?」
『ああ、きっと脳みそもかびてるから記憶が溜められないんだろうなァ、気の毒に。同情するぜ』
「………殺す」
『負け犬の遠吠えはみっともねェぜ?』
「絶対ェ殺す、もう殺す」
『はいはい、いつになるんだろうな、俺がジジイになる前にしてくれよ?じゃ、もう肉が焼ける頃だから、失礼するぜ。さよなら、レディ。もっと違う場所で会えたなら良かったのに………もう会うこともないでしょうね。この船は、貰っても仕方がないのでシトロスの港に置いておきますから』
「ちょ、待ちやがれ………!」
「ちょ、待ちなさいよ………!」
『―――それでは。…………ぷつっ。つーっ。つーっ。っつー』
「「あの野郎…………………絶対とっつかまえる」」
額に十字マークを浮かべたナミとゾロの低い声がハモった。ウソップが起きていたなら震え上がったに違いない。
「燃えてるなーお前ら。でもそれより俺、腹減ったんだけどなー。なあナミー……………あれ、聞こえてねーや、髪逆立ってる」
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