執務室に戻ると、机の上に、所属のわからない包みが置いてあった。
明らかに贈答用の形状をしているが、贈主に心当たりはない。

クルガンは慎重に、丁寧にかけられたリボンを解き、中身を確認した。毒針や小さい刃物の類いは見つからず、中には小麦粉と砂糖とバターを練って焼いた菓子が入っていた。

「────」

溜息を吐いて、クルガンは机から立ち上がり、菓子を屑籠に捨てた。それから、もう一度溜息を吐いた。

水ですら、クルガンは所属不明のものは口にしないようになった──贈主の心当たりはないにも関わらず、恨みを買った覚えなら山ほどあるのだ。