鼻をつままれ、口に注がれた液体を反射的に飲み下せば、半分は息の管に入ったらしく酷くむせ込むことになった。
残りの半分は食の管に入って、かっとなって胃の腑を焼いた。一瞬で体温が上がり、指先が痺れたようになった。反射的に体を丸めると、もっと熱くなった。頭がぐらぐらとする。眠りたいのに、眠らせてはくれない刺激。喉がいたい。ひりつく。からい。くさい。
「※※、※※※※、※※※※※※?」
人間が語り掛けてくる。けれど、元々彼は余り言葉を知らなかったし、初めて感じる類の刺激に脳みそが溶け始めていて、何を言われているのかちっともわからなかった。
上手く飲めなかったと思ったのか、もう一度、口元に瓶の口が当てられる。
しかし、彼は首を振ってそれから逃れた。
ろくに体が動かず、その理由は瓶の中の液体にあるに違いなかった。「食べられない」ものだ、と、本能が判断する。
「※※※※※。※※※※※」
力の入らない体はごわごわとした布に巻き込まれ、暖かい火の傍に据えつけられた。
ぱちぱちと音を立てる火を見詰めていると、いつの間にか、指先の凍えはなくなっていた。