おうちへ帰ろう。
青空に向かって間抜けに口をあけて寝転ぶ馬鹿。
確かに阿呆にもわかるくらいの良い天気だけれど、通行の邪魔だ。
「………………」
「………………」
視線が交差する。
ゾロはいい加減疲れていたし厭きてもきたので、長い沈黙を破って口を開いた。
「……何見てんだ」
「でこ」
「…………」
「テメェ絶対前の方からハゲるな」
「死んでしまえ。いいから」
ゾロは血まみれの男を肩に担いで歩き出した。
アホとかハゲとか言いながら暴れる荷物に向かって、もう一度「死んでしまえ」と呟く。
十メートルほど進んだところで、自分は確かにとんでもないマゾだと自覚した。