情死。






そうして奴はまた負けた。
 でも逃げなかった。

不似合いに綺麗な血を飛沫いて沈んでいく躰。
 二回目。俺の台詞だけが違う。

乾いた言葉をなぞる俺の唇。
まさかこの俺がこんなことを言うとはな。仲間達の見開いた目。

「死なせろ」

魂の死が、そいつの死だ。

奴が目の前で死んだ。
俺は黙って見ていた。

生きろと言った俺の目の前で、命を捨てて見せたんだ。
俺のプライドを叩き折ってまで死んだ。なんて鬼畜だよ。
俺はそれを許して、とっときの慈悲をくれてやった。
ホントなら蹴りでもぶちかまして引きずり戻すトコなんだぜ?

なあ満足かよ。

俺の。

俺の俺の。俺の。






心ごと、死ね。